単発の仕事を月額の継続契約に変える提案の仕方|フリーランスの料金表とプランの作り方
単発で終わる仕事を、月額の継続契約に変える提案の仕方をまとめました。小さな作業を「月◯点まで」に束ねるプランの作り方、1点の決め方、金額の決め方、料金表の記入例、提案する時期と例文まで。営業講座「KENTAの営業部屋」の個別相談で扱っている考え方をもとに整理しました。
今月は仕事が取れた。でも1本ずつの納品なので、来月はまたゼロから探すところから始まる。そんな状態が続いていませんか。
先に答えです。単発の仕事を月額にするには、毎月必要な作業がある相手に、小さな作業を「月◯点まで」に束ねたプランを、料金表で出します。金額は、相手が毎月続けられる予算と、相手がその作業に今いくら払っているかを聞いて考え、そのうえで自分の作業時間で採算が合うかを確かめます。提案するのは、納品の時か、相手の更新の頻度が見えた時です。
進め方は次の5つです。
- 相手に、毎月必要な作業(更新し続ける運用)があるかを見る
- 1点の値段が言える小さな作業を選び、「1点」の中身を決めて「月◯点まで」の枠にする
- 相手の予算と、今払っている費用を聞く
- 作業時間を測り、最大の点数まで頼まれても採算が合うかを確かめる
- 料金表にして、こちらから出す。単品の値段も並べる
このページでは、営業講座「KENTAの営業部屋」の個別相談で受講生と扱ってきた考え方を、そのまま使える料金表と例文にしてまとめます。
なぜ単発のままだと苦しいのか
単発の制作だけで食べていこうとすると、毎月ゼロから受注を取り直すことになります。今月20万円の仕事が取れても、来月はまた20万円分の新しい仕事を探すところからです。働いた時間は積み上がるのに、売上は積み上がりません。
月額のプランは、ここを変えるためのものです。1社あたりの金額は小さくても、契約が続いている間は、毎月の売上の見通しが立ちます。解約や更新の見送りはあり得ますが、それでも毎月ゼロから探すのとは違います。
大事なのは、これが単価を上げる話ではなく、収入の底を上げる話だということです。
1. 月額にできる相手かどうかを先に見る
月額のプランが合うのは、作ったものを更新し続ける運用をしている相手です。
- 自分で広告を回し、反応を見ながらバナーやLPを直している
- YouTubeやSNSを毎週更新している(動画編集なら、担当するチャンネルの月◯本を受ける形)
- LINEの配信を続けていて、配信用の画像が毎回要る
反対に、作って終わりのもの(一度作れば当分触らないページなど)しか頼まない相手には、月額は合いにくいです。毎月必要な作業があっても、予算や社内の体制が合わなければ月額にはならないので、単発のまま続ける選択肢も残しておきます。
もう一つ見ておきたいのが、相手がこれから事業を広げる予定があるかです。拠点や事業を増やす会社ほど、更新・複製・管理の仕事が続けて生まれます。相手の拡大の計画が、そのまま月額を提案する理由になります。
毎月どんな作業が要るのか分からない時は、まず納品後に「その後どうですか」と聞くところからです(フリーランスの継続案件の取り方へ)。
2. 小さな作業を「月◯点まで」に束ねる
束ねる材料は、1点の値段がもう決まっている小さな作業です。
- バナー1点
- LPの修正1か所
- LINE配信用の画像1点
- 動画のサムネイル1枚
相手に見せる枠は、種類ごとに分けず、「月◯点まで制作」の1つにまとめます。作業の種類ごとに点数を変えたり、ポイント制にしたりすると、売る側の自分でも説明できないプランになるからです。
ただし、何でも同じ1点にしてよいわけではありません。「1点」に何が含まれるかを先に決めます。
- サイズや長さ(例:バナーは1サイズ、リサイズは別の1点)
- 素材や原稿は誰が用意するか
- 1点につき修正は何回までか
- 新しい企画や、負荷の大きい作業(LPの新規ページなど)は枠の外にする
納品したものの改善(たとえばLPのファーストビューを別パターンで作る)も、点数の範囲に入れられます。納品物そのものの改善が、毎月の仕事になるわけです。
3. 金額は、相手の予算と「今払っている費用」から考える
月額の金額を、自分の作業時間×時給だけで積み上げると、相手が毎月払える額を超えて、そもそも続かないことがあります。講座では、月額の値付けは「いくらもらうべきか」だけでなく「いくらなら止まらないか」からも考える、と伝えています。
同じ商品でも、相手の規模で置く帯を変えます。ひとりでお店を運営している人と、複数の拠点を持つ会社では、毎月払い続けられる金額が違うからです。
もう一つの当て方が、相手がその作業に今いくら払っているかです。
- 今は誰に、いくらで頼んでいるか
- その金額に、どこまでの作業が含まれているか
- 頼めていないことで、どんな手間や損が出ているか
これは相手の頭の中にすでにある数字なので、比べる基準になります。「今払っているこの費用を、私が引き受けます」という説明は、自分の作業時間を説明するより伝わりやすくなります。
聞き方はシンプルで大丈夫です。
普段は、どなたに、どれくらいの予算でお願いしていますか?
総額だけでなく、その中に何が含まれているかまで聞きます。同じ金額でも、作業の範囲が違えば比べられないからです。
最低◯か月の期間を付けるかどうかも、この段階で決めておきます。いきなり長い期間で出すより、数か月の試しから入り、続けて良ければ延ばすほうが、相手は決めやすくなります。
4. 作業時間を測って、採算が合うかを確かめる
相手の予算から金額を考えたら、次は自分の側で採算が合うかを確かめます。
「月5点まで」と書くには、1点にどれくらいかかるかを知っている必要があります。制作の時間だけでなく、連絡・確認・修正の時間も含めて記録しておきます。測らずに上限を決めると、受けた瞬間に赤字になる点数を自分で書いてしまいます。
相手の予算と自分の採算が合わない時は、点数を減らすか、1点の範囲を狭めるか、単発のまま提案します。
相手がすでに定期的に更新している場合は、相手が月に何点必要としているかから点数を置く方法もあります。たとえば動画を毎週出しているなら、サムネイルは月に4〜5枚要ります。「月に◯枚作るなら、◯円で作れます」と、本数と金額をセットで出せます。
作業時間の記録は、のちに値上げを相談する時の根拠にもなります(値上げの伝え方へ)。
5. 料金表にして、こちらから出す
金額は、口で言うより料金表で出します。理由は4つあります。
- 範囲が文字で決まる。「ここからここまで」が書いてあるので、あとから作業が膨らむのを止められる
- 金額を自分の口で言わずに済む。出しているのは自分ではなく表なので、言い淀まずに済む
- 上のプランを見せられる。「全部任せたい方向け」のような上のプランを置いておくと、相手の反応で予算の感覚が分かる
- 相手が社内で説明しやすい。中身が分かれた料金表なら、相手は上司や経理に「何にいくら払うか」を見せられる
そして、「いくらですか」と聞かれてから考え始めないことです。聞かれてから考えると、その場で数字を作ることになり、言い淀む・安く出す・あとで後悔する、のどれかになります。料金表は一度作って使い回すものなので、相談を受ける前に用意しておきます。
料金表には、月額だけでなく単品の値段も並べます。相手が「1点ずつ」と「月額」から入り口を選べるようにしておきます。
料金表の記入例
自分の条件で埋めて使ってください。これは記入の型で、料金の相場や実際の契約例ではありません。
項目 | 書くこと |
|---|---|
対象と1点の中身 | どの作業か/サイズ・長さ/素材や原稿は誰が用意するか |
月額と上限 | 月◯円(税込・税別)・月◯点まで |
単品と超過 | 1点◯円/月◯点を超えた分は単品の値段で受ける |
修正と対象外 | 1点につき修正◯回まで/新しい企画・効果の検証は対象外 |
受付と納期 | 依頼の締め切り/素材が届いてから◯日/同時に頼めるのは◯点まで |
使わなかった点数 | 翌月に繰り越すか、繰り越さないか |
期間と終わり方 | 開始日・最低期間・更新の仕方・終える時は何日前に連絡するか |
支払い | 締め日・支払日・支払い方法 |
点数の上限・含まれる範囲・値段を決める前に、同じような月額プランを出している会社がどう決めているかを調べておくと、抜けが減ります。
いつ提案する?
一番自然なのは、納品の時です。納品した相手には、そのあと毎月必要になる作業を具体的に提案できます。
ただ、納品のあとしか出せないわけではありません。最初の商談で、相手が定期的に更新している媒体(動画のサムネイル、配信画像など)が見えたら、本命の仕事が決まる前でも、その小さな作業を月額の選択肢として出せます。
例文:納品の時に添える
このたびはありがとうございました。今後、新しいバナーや配信用の画像が毎月必要でしたら、月額でお受けするプランもご用意しています。ご興味があれば、範囲と料金をまとめた表をお送りしますね。今回の制作に含まれる手直しとは分けてご案内します。
チャットなら、もっと短くて大丈夫です。
納品ありがとうございました!今後バナーや画像が毎月続くようなら、月◯点までの月額プランもあります。よければ料金表お送りしますね。
例文:相手の更新の頻度が見えた時
動画を毎週更新されているんですね。よければ、サムネイルを月にまとめてお受けする形もできます。月◯枚までで月◯円、1枚ずつなら1枚◯円です。
(◯の金額・点数は、上の手順で決めた自分の数字を入れてください。例文は書き方の型で、実際のやり取りの記録ではありません)
毎月、何をしたかを報告する
月額が切られるのは、「払っているのに、何をしてもらったか分からない」と思われた時です。月末に、作ったもの・直したもの・残りの点数を短く送ります。
今月は、バナー3点・LPの修正1か所を納品しました。残りは1点です。来月やりたいことがあれば教えてください。
頼まれる前に「来月はこれをやりましょうか」と動けると、月額を払う理由がはっきりします。
よくあるつまずき
- 納品して案件が終わってから、継続の商品を考え始める
- 「1点」の中身を決めずに枠を作り、重い作業まで同じ1点で受ける
- 相手の規模を見ずに、全員に同じ金額を出す
- 作業時間を測らずに「月◯点まで」を書く(受けた瞬間に赤字になる)
- 更新し続ける運用をしていない相手にも売ろうとする
- 月額だけを出す(単品の値段を並べると、相手が入り口を選べる)
- 制作と、効果の検証の線を引かずに提案する(検証まで抱えることになる)
よくある質問
Q. 月額契約は何か月から始めればいいですか?
決まった正解はありません。相手が試しやすいように、数か月の期間から始め、続けて良ければ延ばす形が決めやすいです。最低期間を付けるかどうかは、プランを作る時に決めておきます。
Q. 使われなかった月はどうなりますか?
点数を翌月に繰り越すか、繰り越さないかを、料金表に先に書いておきます。どちらでもかまいませんが、決めずに始めると、あとで揉める原因になります。
Q. 月額の中で、修正は何回まで含めますか?
「1点につき修正◯回まで」と料金表に書いておきます。修正の決め方は「フリーランスの修正が終わらない時の止め方」で詳しく扱っています。
Q. 安いサブスク型のサービスや、AIと比べられたら?
値段だけで比べると勝てないこともあります。月額で選ばれる理由は、作業の安さより、相手の事業を知っていて、頼む前に動けることです。毎月の報告で、何をしたか・次に何をやるかを見せるようにします。
Q. 契約書はどうすればいいですか?
対応範囲と点数、納期、報酬・支払日、期間・更新・終了の条件を、契約書やメールで確かめておきます。料金表だけで契約条件のすべてが決まるとは限りません。フリーランス法の対象となる取引では、発注する側に取引条件を示す義務があります。詳しくは公正取引委員会の「フリーランス法」特設サイトで確認してください。
まとめ
- 月額は、毎月必要な作業がある相手に、納品の時か更新の頻度が見えた時に出す
- 小さな作業を「月◯点まで」の枠に束ね、「1点」の中身を決めておく
- 金額は、相手の予算と今払っている費用から考え、自分の作業時間で採算を確かめる
- 料金表にして、単品の値段も並べる
- 毎月、何をしたかと残りの点数を報告する
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