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フリーランスの単価交渉はいつ切り出す?値上げの伝え方と例文、断られた時の返し方

継続案件のクライアントへの値上げで、いつ切り出し、何を根拠にどう伝えるかをまとめました。自分の時給の確認から、改定額と適用時期を伝える例文、断られた後の判断まで。営業講座「KENTAの営業部屋」で実際に教えている進め方です。

値上げを言い出せないまま、文面を何度も書き直していませんか。最初の連絡に、金額を書かなくても大丈夫です。

先に答えです。継続案件のクライアントへの値上げは、今の条件と見直す理由を整理し、契約の更新や次の発注に向けて、相手が予算を検討できる時期に相談します。伝える時は、今の金額・希望する金額・いつから、どの仕事に適用したいかをセットにします。断られたら理由を確かめ、範囲の調整、時期を変えた再相談、今の条件での継続のどれにするかを決めます。

進め方は次の5つです。

  1. 自分の採算を時給に直し、希望額と、これより下は受けない下限を決める
  2. 作業時間や担当範囲の変化、相手に確認できた成果を整理する
  3. 担当者に、更新や予算確認の時期と、誰が決めるのかを聞く
  4. 見直す理由・希望額・適用する仕事と時期を伝える
  5. その場で即答を急がず、合意した条件はメールで確かめる

このページでは、営業講座「KENTAの営業部屋」の個別相談で受講生に伝えてきた考え方と、そのまま使える例文をまとめます。

僕が「納品のあとも数字を見る」理由

僕には、動画の仕事で6年続いているお客さんがいます。企画や動画制作、ホームページからLINEへの導線づくりを手伝い、相談件数という数字を毎回一緒に見てきました。その団体の相談件数は、月25件から、2026年10月時点で月200〜300件になっています。

ただし、これは僕ひとりの成果ではありません。団体の皆さんが現場で積み上げてきたものの隣で、一緒に走らせてもらっています。契約が続いている理由も、僕が言い切ることはできません。

ここで伝えたいのは、値上げの成功例ではなく、納品のあとも相手の数字を見る関わり方です。この関わりがあると、値上げの相談をする時に「相手にとって何が良くなったか」を話せます。

1. いくらに上げる? まず自分の採算を時給で確かめる

いくら上げるかは、相場表ではなく、自分の時給から考えます。今の単価が見合っているかは、時給に直さないと分からないからです。

  • 1件の仕事を、やることに分ける(打ち合わせ、作業、修正、連絡)
  • それぞれにかかった時間を足す
  • 報酬を、かかった総時間で割る(外注費やその仕事のためのツール代があれば、差し引いた額でも計算する)

同じ報酬・同じ範囲なら、2回目・3回目で時間が縮むほど採算は良くなります。縮まらないなら、その仕事は採算が上がりにくい仕事です。講座では「時給◯円より下は受けない」という下限を先に決めておくように伝えています。下限があると、案件ごとに迷わず判断できます。

見積もりも同じで、感覚や相場表の丸写しではなく、ヒアリング → 作業に分ける → 時間を出す → 自分の時給を掛けるの順で下限を出し、そのうえで担当範囲や相手にとっての価値も踏まえて希望額を決めます。

2. 単価交渉が怖いのは、材料がないから。そろえるもの

値上げを言い出せない理由は、度胸より材料のことが多いです。次の2つをそろえると、「お願い」ではなく「相談」として話せます。

速くなったことは、黙らずに確かめる

時給で契約していると、慣れて作業が速くなった時に「早く終わると、もらえる額が減るのでは」と心配になることがあります。

ある受講生は、その心配を自分の中で片づけずに、発注元の担当者に直接確かめました。担当者からは、作業が速いことは時給を見直す交渉材料になり得るという答えが返ってきました。黙っていたら出てこなかった答えです。

ただし、これは交渉の余地があると分かった例で、値上げが決まった例ではありません。速さは、品質や担当範囲が保たれていれば、相談の材料の一つになります。時間で契約しているなら時給と必要時間を、成果物ごとの契約なら納期や対応範囲を、分けて整理しておきましょう。作業時間の記録を手元に残すことが、その第一歩です。

相手に出た成果は、条件つきで伝える

成果を伝える時は、比べた期間、自分が担当した範囲、実際にやったことを一緒に説明します。相手の成果にはほかの要因もあるので、自分だけの成果とは言い切りません。

数字を共有してもらっていない場合は、まず「納品のあと、反応はどうでしたか?」と聞くところから始めてください。確認できる範囲で、担当業務が増えたことや、作業時間の変化も材料になります。

3. 値上げはいつ切り出す? 更新や予算確認の時期から逆算する

相談の候補になるのは、契約の更新、次の発注、担当範囲を見直す時です。

  • まず、契約の更新日と、相手が予算を確認する時期を聞く
  • 相手が検討し、社内で承認を取り、条件を書面に残すまでの時間を取って相談する
  • 材料がそろっていても、適用の直前では予算を動かせないことがある
  • 進行中の案件をどう扱うかも決め、合意する前から新しい単価で請求しない

「半年たったら」「1年たったら」と待つより、相手の予算の都合と、自分の材料がそろったかで決めてください。材料がないまま待っても、通りやすくはなりません。

4. 値上げはメールやチャットで伝えていい? 話せる場で、決める人に

僕は、理由や条件をすり合わせられるZoomや対面での相談を勧めています。テキストで金額だけが先に届くと、相手は理由を聞く前に「高い」「安い」で判断しやすいからです。

チャットだけでやり取りしている継続案件なら、まず次のように送ってください。この文に金額は入れません。

今後のお仕事の進め方について、ご相談したいことがあります。15分ほど、お電話かZoomのお時間をいただけますか。

ただ、先に見積もりが必要な相手や、メールで検討したい相手もいます。担当者に「単価の見直しは、どなたに、どの資料でご相談するのがよいでしょうか」と確認してください。

単価が決まるのは、決める権限がある人のところです。僕が見てきた範囲では、窓口の担当者に単価を決める権限がないこともよくあるので、担当者経由で社内に提案してもらう方法も含めて、相手の決め方に合わせます。話す場合も文章の場合も、理由・金額・適用時期・範囲をセットで伝えます。

5. 値上げはどう伝える? そのまま使える例文

以下は、既存のお客さんに相談するための例文の型です。実際の状況に合う所だけを使ってください。

打診(日程と進め方を聞く)

いつもありがとうございます。次回の更新に向けて、現在の業務範囲と単価について一度ご相談させてください。お話しできるお時間と、社内でご確認いただくのに必要な資料があれば教えていただけますか。

改定の相談

現在、◯◯の業務を1件◯円(税別)でお受けしています。[確認できる範囲の変化や成果]を踏まえ、◯月◯日以降の新しいご依頼分から、[対象の範囲]を1件◯円(税別)でご相談したいと考えています。進行中の案件は[今の条件のまま]と考えています。ご予算や適用の時期について、ご相談させていただけますか。

順番は、今の条件 → 確認できる理由 → 希望する条件 → 適用する仕事と時期 → 相手の事情を聞くです。実際には増えていない業務や、確認できていない成果を理由にしないでください。

新しいお客さんや、紹介で相場の感覚がない相手に見積もりを出す時は、講座では「普段はこの内容で◯万円でお受けしています。今回は◯◯なので◯万円で。ご予算はどれくらいでお考えですか?」と、先に自分の数字を置いてから相手の予算を聞く型も伝えています。

決めた金額は、曖昧にせず伝える

希望額と根拠を決めたら、言葉を濁さずに伝えます。講座では、見積もりで迷っている受講生に「言い切りなよ。断られてもいいやと思って」と伝えたことがあります。

言いにくさの理由は人によって違います。根拠が足りないなら材料を整理し、相手の予算が分からないなら聞き、1社に収入が集中しているなら、ほかの受注の候補も探しましょう。「断られてもいい」と思うことと、準備なしに取引の終わりを迫ることは別です。

6. 値上げを断られたら? 理由と時期を聞いて、次の手を決める

断られても、その場で値下げを約束しないでください。まず「難しいのは、金額、適用の時期、業務の範囲のどの点でしょうか」と理由を聞き、「いつ頃なら見直していただけそうですか」と時期を聞きます。そのうえで持ち帰って整理します。

相手の返事

確認すること

次の行動

今期の予算では難しい

次の予算確認や更新はいつか

今の条件で続ける期間と、再相談の日を決める

希望額は難しいが相談はできる

必要な業務と、減らせる範囲

修正回数や納品範囲を調整した別案を作る

値上げの理由に納得できない

どの点の説明が足りないか

実績・範囲・条件を整理して説明し直す

担当者だけでは決められない

必要な資料、決める人、返事の予定日

担当者が社内に相談できる形で資料を渡す

返事の例

ご事情を教えていただきありがとうございます。必要な範囲を整理して、◯日までに別案をお送りします。

初めての商談で金額を聞かれた時も同じで、その場で確定させず「内容を整理して、改めてお見積もりを出させてください」と持ち帰れば、作業を分けて根拠をつけてから出せます。

再提案しても自分の下限に届かない時は、今の条件で続けるか、次の更新をどうするかを考えます。

条件がまとまったら、メールで確かめる

本日ご相談した条件は、[業務範囲・修正回数など]、1件◯円(税別)、◯月◯日以降の[対象の発注]から適用、進行中の案件は[扱い]という認識です。相違がないか、ご確認をお願いいたします。

7. 値上げしたら切られるのでは、と怖い時は?

取引が1社に集中していると、断られた時の影響が大きくなります。だから講座では、単価を上げたい時に今の仕事をいきなり手放さず、ほかの案件の応募や面談も進めて、選択肢を横に並べるように伝えています。上の条件が実際に手元に来てから、入れ替えを考えます。

ただし、候補があるだけでは収入は確定しません。実際の受注条件・働き始める日・入金の予定と、今の契約の終わり方を確かめてから判断してください。

値上げを相談しやすい関係は、ふだんの仕事の進め方からつくれます。納品のあとに何を聞いているかは「フリーランスの継続案件の取り方」にまとめました。

よくある質問

Q. 値上げはいつ切り出すのがいいですか?

契約の更新、次の発注、担当範囲の見直しの時が候補です。まず更新日と、相手が予算を確認する時期を聞き、検討と承認の時間を取れるように相談します。「半年」「1年」と待つより、材料がそろったかどうかで決めてください。

Q. 値上げをメールで伝えてもいいですか?

伝えて大丈夫です。話せる相手なら条件をすり合わせる場を作るのがおすすめですが、相手が文章での検討を望むなら、理由・金額・適用時期・範囲をまとめて送ります。

Q. 断られたらどうすればいいですか?

金額・適用時期・範囲・社内の承認のどこが難しいかを聞き、その理由に合わせて、別案・時期を変えた再相談・今の条件での継続を考えます。ほかの受注の候補を探しておくことも助けになりますが、それで収入が守られるとは限りません。

Q. いくら上げればいいか分かりません

一律に何%と決める前に、自分の下限から必要な金額を計算し、担当範囲と相手の予算に照らして希望額を決めます。

まとめ

  • 自分の採算を時給で確かめ、希望額と下限を決める
  • 作業時間・担当範囲の変化・確認できた成果を、条件つきで整理する
  • 更新や予算確認の時期を聞き、決める人に、理由・金額・適用時期・範囲をセットで伝える
  • 断られたら理由を聞いて持ち帰り、合意した条件はメールで確かめる

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